【1日5分】薬指を鍛えるギターの運指トレーニング
自粛延長に合わせて髪の毛も延長しています。
Funギタースクールです。
今回は、ギターの運指について書きたいと思います。
そもそも運指とは…
うん‐し【運指】
ピアノなどの楽器を演奏するときの、指のつかい方。
だそうで、ギターで言うならば、指板上で弦を押さえる方(右利きの方なら左手。以下左手で進めます。)の指の運び方の事です。
英語ではフィンガリング(fingering)と言います。
ギター演奏の動画などを見ていて、「この人よくこんな指動くな~」と感心したことってありませんか?
特に、ギター経験者なら「小指めっちゃ動いてすっげー!自分の小指は全然動かないのに…」と思ったこと、あると思います。
あれ、実は小指が動いてすごいというより、薬指が独立して動くことがすごいんです。
ギターの世界では、薬指は「死に指」と呼ばれることもあるほど、一番動かしにくい指とされています。
中指や小指を固定していると、薬指がとても動かしづらいのです。
その昔、知り合いのギタリスト外科医から聞いた話によると、、
人差し指~小指の間には「腱間結合(けんかんけつごう)」と呼ばれる結合があり、特に薬指だけは、小指・中指が曲がっているとロックされた状態になってしまい、上げることができない
んだそうです。
指を曲げた状態で中指と薬指の間を広げづらいのも、そのためです。
これが、ピアノなどをやっている方など、この結合に反する指の動きをたくさん練習してきた方は、常人の動きを超えた指の動きができる場合があります。
(結合が切れていたり、筋肉が発達したり、可動域が広がったり、様々な要因で。)
どうしても動きが悪い場合、手術で結合を切ってしまうこともあるそうですよ。
大概のギタリストにとってもこの薬指の動かしづらさにはとても苦労させられる問題で、大きな悩みの種の一つです。
滑らかなフィンガリングには薬指の独立は不可欠ですからね。
かく言う私も、この薬指には大変苦労させられています。(現在進行形)
変態的なトレーニングも含めて過去に様々やってきましたが、薬指と中指、小指には未だに強固な結合を感じます。まったく嬉しくない。
かと言って、さすがに手術までは…。
そんな私と同じようなお悩みをお持ちの方のために、先日レッスンで行った、左手薬指矯正トレーニングを一部ご紹介します。
この「薬指=死に指」問題は、トレーニングによって、ある程度までは動かせるようになります。
これは、結合を切るというより、筋肉と柔軟性をつけて可動域を広げる、という方向性です。
1日5分でできますので、筋トレ同様、日々のデイリートレーニングとして取り入れてみてはいかがでしょうか。
題して、薬指の独立運動です。
その1.小指を固定してメジャースケールを弾くトレーニング
はい。
小指を固定して、他の指だけ動かして弾いていく練習です。
「人」「中」「薬」「小」と書いてあるのは、4フレットを人差し指、5フレットを中指、…という意味です。
ポイントは、小指で押さえた音を、自然に消えるまで鳴らし続けること。
小指を弦から離してはいけません。
実際に演奏してみた動画がこちらです。
どうですか?楽勝ですか??
薬指を動かす時が結構大変だと思います。
小指が離れそうになるので、薬指の時には小指にも一緒に力を入れて意識して押さえこみましょう。
当スクールでは、このように動画や写真、指板図等を交えながら、生徒さんのご要望に沿った練習譜例をご提示していきます。
レッスン時以外でも、模範演奏を確認したり、動画に合わせて復習したりできるのが特徴です。
ちなみにこのフレーズは、Eメジャースケールの4度を抜かして弾いています。
最初に①のE音を鳴らして伸ばすので、メジャースケールの感じがイメージしやすいのではないでしょうか。
その2.中指を固定してリディアンスケールを弾くトレーニング
はい。
今度は中指固定です。
これもやっぱり薬指を動かすのがきついです。
だんだん、己の指が憎くなりますね。
実際に演奏してみた動画がこちら。
焦って速く動かそうとせず、ゆっくりやった方が負荷がかかって良いと思います。
筋トレと一緒ですね。
ちなみにこのフレーズは、最初に①のA音を鳴らして、そのあとAリディアンスケールを弾いていることになります。
リディアンスケールとは、メジャースケール(移動ドでのドレミファソラシド)の4度の音が完全4度(ファ)から増4度(ファ♯)に変化したスケールのことです。
増4度(③)の音が、少し浮遊した(とよく表現されます)感じの印象を与えてくれます。
その3.薬指を固定してディミニッシュスケールを弾くトレーニング
はい。
次は薬指を固定して、他の指を動かします。
⑤~⑦あたりが弦が離れていて難しいですね。(え?楽勝ですか??)
実際に演奏してみた動画がこちら。
…弾いている本人もキツそうですね。
速く戻りたかったのか、途中から速くなってます。。
全然歯が立たない!という方は、①→②、①→③、①→④、…のように、一回一回①の薬指の音を鳴らして、1音ずつ確認していくのが良いと思います。
このフレーズはEディミニッシュスケールと言って、1.5音間隔で弾いていくスケールです。
ギターで言えば、同じ弦で3フレットずつ動かして弾いていくと1.5音間隔です。
独特の、「ヤバい!」感を感じさせる、危険な雰囲気を醸し出すスケールですね。
その4.中指&小指を固定してペンタトニックスケールを弾くトレーニング
はい。
今度は中指と小指を両方固定で、難易度が上がっていきます。
薬指の可動域は極小まで狭まったのではないでしょうか。
1小節目は8分音符で「手順 2」を弾きます。
2小節目は8分音符で「手順 2」を弾きます。
3&4小節目は、「手順 2」と「手順 3」を繰り返します。
一応、順番で弾くとかいろいろ書いてますが、弾けない方は順番を気にせず、中指&小指を固定したまま、ひたすら薬指と人差し指をピコピコ動かしてみるのが良いです。
筋トレ的な感じで。
実際に演奏してみた動画がこちら。今度は何となくバッキングを入れてみました。
この伴奏音源はこちらからダウンロードできます。
https://drive.google.com/file/d/1rLe-NFVGrDcZtC-kWWT3SvilSIwvr55j/view?usp=sharing
このトレーニングはEメジャーペンタトニックスケールを弾いています。
バッキングのコード進行を「E-C#m7-Amaj7-A/B,B」としているので、そのまま弾いても違和感ないと思います。
その5.中指&小指を固定してリディアンスケールを弾くトレーニング
はい。
これも頑張って①の中指の音と②の小指の音を伸ばします。
なかなか、大変ですね。
ちなみにこれはAリディアンスケールなんですが、リディアンを特徴づける♯11thの音はフレーズに含まれていません。
ですが、Key=Eメジャーの中でのフレーズなので、リディアンスケールとしています。
細かく言うなら、Amaj7コードトーン+9th+13thですね。
こちらも伴奏をダウンロードできます。
https://drive.google.com/open?id=1mwWPvy3Re6LWNjcuO4WH63gm7bZEhebY
コード進行は「Amaj7-Amaj7-F#m7-Bsus」です。
ずっとAmaj7だけだと変化が無いので、F#m7-Bsusも入れました。
1日5分と書きましたが、慣れない方にとっては5分続けるのも結構大変だと思います。
薬指の独立記念日が制定される日を目指して、頑張りましょう。